第14回






いやー今回は勉強させてもらいましたよ。いやマジで。
 もう世の中なんでもアリなんだなーと。嘘とあいまいな証人がミックスすると簡単に無実の人が罪に問われるということを学びました。

 いやなに、まー交通事故ですよ。交差点で出合い頭でガシャンて感じですよ。いくら自分が安全運転していても赤信号無視の車はよけれないもんだなーと。携帯電話の普及とともに走行中も電話に集中して前を見てねー奴が増えたなーと。これからは青信号といえども信用できん。黄色のつもりで細心の注意をして走行しないと危険だということが分かった。

 ということで、免許を取ってから20年間無事故を誇ったこのオレもとうとう事故しました。

 事故の内容を簡単に書くとこんな感じ。
 買い物を終えて帰宅中、前方の青信号を確認し渡りきろうと坂道を上がるかたちで交差点に進入すると、左から白いワゴン車が坂道を下りながら直進してくるのが見えた。相手は右手に携帯電話を持ちながら通話中。まったくこっちを見る気配もなくまっすぐ突っ込んで来た。ブレーキを踏みつつハンドルをきって対応したが、よけきれず交差点中央でクラッシュ。
 えっ! と思いつつ再度、前方の青信号を確認するとやはり青だったのでドアを開け相手のオヤジに苦言した。
 すると、よくわからないことに相手も自分の方が正しいと言いだしたので、ホトケと言われるほど温厚なこのオレも一瞬にして完全ブチキレですよ。
 青信号を指さし腹の底から声を出して怒鳴ったが相手はこれも否定。携帯電話で通話中だったことも責めたが、電話なんかしてねーよ。と、意味不明。
 あまりにも腹が立ったので更に大きな声を出して、
「今、手に携帯持ってるじゃねーかよっ!」
と、身をのり出して指をさして指摘したが返ってきた返事は、


「持ってねーよ!」 


耳もとで携帯を握りしめながらそう答えた。
 ああ、オレはなんてタチの悪い相手にぶつけられてしまったんだろう。その時、気がついた。
 口論してる間にもすぐに前方の青信号は黄色に変り赤へと変った。そうなると、今度は相手が水を得た魚のように生き生きとしだし、自分の前方の青信号を指さして、

「見てみろ! こっちが青だ!」

 と、形勢逆転…。こんなデタラメな人間が存在するのか。いい大人が子供でも通用しないような嘘をつくのかと驚愕した。
 ぶつかった瞬間、自分の方が赤信号だった場合まっとうな人間なら自分の非を認め謝るもんだとばかり思っていたオレは世間知らずだったようだ。

 しばらく交差点内で口論は続いたが交通量が少ない道とはいえさすがに渋滞してきたので車を脇の道に移すことにした。
 ここからはもうドラマの世界。車をとめるとすぐに、交差点から50メートル先の自転車屋あたりで音がしたから見た。というオバサンが出現しオレの方が赤だったと証言。
 数分すると70メートル離れた民家から、部屋でパソコンをしていると音が聞こえたので外を見た。というオジサンも出現。
 同じくオレが赤だと証言しウソツキを擁護した。
 
 おいおい、音がしてから見たの「見た」とは、いったい何秒たってからのことだよ。1秒?10秒?20秒?。信号なんて数秒ですぐ変るんだぞ。あんたらが見たのは事故の瞬間じゃなくて事故後オレの方の信号が変って赤信号になってからだろ。
 それじゃあ何かい。オレは目の前の赤信号を指さして青だと喚いて、携帯で電話中だったってのは幻だったと言うのかい。
 そりゃオレの車は歌舞伎町でよく見るような少しガラの悪い車かもしれしれない。何故かローダウンだし相手よりでかい声で叫んでいたかもしれない。だからと言ってイメージで悪と決めるのは如何なものかと。あんな悪質で危険なドライバーの味方するなんて節穴かと。目前で瞬間を見てた訳でもあるまいし偏見や先入観で曖昧な証言するくらいなら出てくるんじゃねーよボケが。

 そんなこんなで現在、保険屋をとおして揉めてる最中。
 いやしかし、事故においては幼稚園児並の知識しかなかったので今思えばミスがたくさんあった。唯一、瞬間を見ていたであろう対向車を止めなかったことや、先に相手に警察を呼ばれてしまったことなど。事故上級者である相手のペースで全て進められてしまった。交通戦争とまでいわれる現在、オレはいつの間にか平和ボケしていたんだと実感した。

 事故後、いろいろな人に聞いたり自分で調べたりと勉強したが、双方青信号主張というのは実は結構多くてかなり問題になっているらしい。衝突音でカメラが作動する交通事故自動記録装置でも付いてないかぎり真相は分からないので泣き寝入りをする人も多く、嘘を付いてる方が勝つケースもたくさんあるらしい。
 とにかく現在は相手に証人がいる分オレの方が圧倒的に不利。
 ていうか、こちらが青だったという新たな目撃証人でも出ないかぎり勝てる要素なし。
 物損事故なんてものは警察もいい加減にしか対応してくれないというのが現状。
 不幸中の幸いといえば大事故じゃなかった事。いい勉強になりました。

 ということで、走行中の携帯電話というのは実は飲酒運転よりも危険というデーターがある。歩きながらでもぶつかってくる奴もいるしね。注意しよう。