第22回





4時44分  -part1-




 難を逃れて立川のリサイクルストアーで無事に買うことができた中古のカーコンポは、とても調子がよく、後部座席の後ろに取り付けた大きな2つのスピーカーからは快適な重低音が車内に響き渡りとても満足していた。

 2〜3週間前に路上で偽ブランド品の押売りに遭遇したことなどすっかり忘れオレは普段どうりの楽しくて天国のような日々を満喫していた。

 その日は、学校の帰りに国分寺で用事を済ませ、明日提出しなければいけない課題を作るため真直ぐ家へ向かって走行していた。
 オレは基本的に毎日同じ道で帰るとこはなく、その日のフィーリングで青梅街道を走ったり、五日市街道を走ったり、甲州街道も使ったが、この日は、連雀通りを選んで帰ることにした。
 国分寺から三鷹へと続く連雀通りは、道幅も狭く一車線なのであまりスピードも出せず信号でもよく止まったが、特に急いでいるわけでもないし、天気もよかったので気分よく音楽を大音量で聞いて過していた。

 しばらく走行しているとまた信号で止まった。その時に、ふと車内のデジタル時計を見たら4時44分と「4」が3ツ揃っていた。
 やべー4:44を見ちゃったよ。


「444は死の数字」


 誰が言ったか知らないけどオレの頭の中ではそうインプットされていて、不吉な予感が脳裏に走った。
 逆に3:33を最強として、1:11、2:22、5:55はラッキーな数字として車内でそれを偶然見た日はハッピーな予感がし、ツキがあるということで、どんな賭け事をしても負ける気がしなかった。

 まあ、ちょうど今日は課題をやらなきゃいけないし帰宅まで車の運転に気をつけて家で大人しくしてよう。と、背筋を伸ばしてハンドルを両手で持ち、いつも以上の安全運転を心掛けた。
 その時、チラリとバックミラーを確認した時に何か、一瞬、イヤ〜な物が映った気がして“ゾクッ”と寒気がした。

 ん? なんだ? 何が見えたんだろ? 再度バックミラーに注目すると普通の白いセダンが後ろにいるだけで特に変った様子はなかった。
 なんだよ? 気のせいか? 
 ああ‥あれか、2〜3週間前に遭遇したヤクザな押売りと同じ「マーク・ツー・グランデ」だからオレの脳があの時の恐怖を思い出したんだな。
ははん。なるほどねー。
 ちょうどフルスモークだしな。
 ナンバープレートも「なにわ」ナンバーだし。
 ハハハッ‥似てる似てる‥‥。
 お? 助手席にも派手なセーターを着て口髭にオールバックの、荒勢によく似た暴力団風のゴツイ奴が腕組みして座ってるよ‥‥‥‥‥‥‥。




「ていうかッ! マジかよ!‥‥あの時の押売りダああああッ〜〜〜!」




 オレは自分の目を疑った。ウソでしょ? なんで? どうして? いつからオレの背後に? オレに用事があるって事? 学校から尾行されたのか‥‥? 
 と、動揺してワイパーを動かしていた。当然、心拍数は速まりノルアドレナリンも噴出。
 すると前回と同じように、また白くて細いエナメルのベルトを絞めたチンピラ風の運転手がドアを開けて出てくるのがわかった。
 なんだよ?‥‥またこっちに歩いて来るよ。
 え?‥あッ‥‥まさかオレが新聞配達員じゃないってのがバレたのか‥‥‥?。
 チンピラ風は運転席横でピタリと止まると、ウィンドーを軽く2回ほどノックしてきた。








つづく