●横浜ドライブ -part4- オレ「なんだよアイツらあああッ〜〜〜!! みんな銃もってたなッ! 西部警察のつもりかよッ?!」 ムスメ「まさか5人もいるとは思わなかったねッ?!」 チエ「殺されるかと思ったわよッ!」 マリエッタ「超コエ〜〜ッ! なんで全員でチャカもってるのよッ!」 ムスメ「ヤクザッ? ねーッなんなのよアレッ?!」 福田「族だろッ?!」 オレ「編みサンダル履いてたなッ! いつの時代の不良だよッ!」 チエ「ライフル持ってたよおおお〜〜〜!」 ムスメ「本物じゃないのアレッ?」 福田「スッゲーデカい奴がいたなッ!」 チエ「まゆ毛ない人もいたよぉ〜〜!」 ムスメ「それ、わたしと目が合ったあああ〜!」 全員がハイテンションで恐怖の感想を訴えた。 チエ「んね〜ッ? あれもみんな普通のガスガンなの? 改造してないのッ?!」 オレ「それが分からねーから逃げるんだよッ! とにかくヤバイことは確かだッ!」 ムスメ「みんなジャージの上下着てたよねッ! 赤、青、黄色とかッ!」 マリエッタ「緑とピンクもいたわよッ!」 オレ「ゴレンジャーかよッ! それにしても、この辺の奴らじゃねーなッ!」 福田「埼玉ナンバーだったッ!」 マリエッタ「「わたし明日、撮影あるのに無事に帰れるのかしら〜〜!」 チエ「とにかく逃げて逃げてええええ〜〜〜〜〜!」 こうして深夜のカーチェイスがはじまった。 今度は遊びじゃない。本物の鬼ごっこだ。流れる汗も冷汗にかわった。 オレは自分の体験を思い出し、逃走しながら頭の中で電卓をはじいた。今回は信号で停まったらアウトだ。捕まったら武装した後ろの5人組に何をされるかわからない。話してわかるような連中でもなさそうだし‥‥。前回のように信号で足止めすることができるか?。いや、アイツらに信号なんて関係ないだろう。無視するに決まってる‥‥。どうする? どうやって逃げきる‥‥‥? オレは自分の「運」だけをたよりに無策で逃げるより手がみつからなかった。 全員の命運がオレの肩に重くのしかかりハンドルを握る手のひらが汗で湿った。 チエ「んね〜ッ? すぐ後ろに追ってきてるよおおお〜〜〜!」 ムスメ「ターボ。ターボなら逃げられるでしょ〜〜?」 オレ「さっきから、ずっとターボ全開だよッ! 後ろの鉄仮面もターボ搭載してるんだよッ! ていうか、パワーが違うよ。スゲー速いんだよ向こうは。簡単には逃げられねーッ!」 マリエッタ「マジーッ?!」 鉄仮面は当時「史上最強のスカイライン」といわれ国内最速を誇っていた。相手が悪すぎる。今夜の相手は強敵だ、頑張ってくれ430セドリックよ。ターボブロアムの底力を見せてくれ。あとでガソリンたくさん喰わせてやるからさ。 チエ「んね〜〜ッ? そういえば、さっきのピンクのジャージの人さ、鉄砲撃ちながらラリッた目で笑ってたの、すんごい怖かったんですけど」 オレ「モモレンジャーか。あれはな、きっと獲物を見つけて嬉しかったんだよ。奴らは人を撃ちたくて堪らないんだよ。それにラリッてるのかもしれないけど、恍惚とした表情にもみえたな。目の前の弱い生き物を撃って、うっとりしてたんだよ」 マリエッタ「いやだ、コワーイ‥‥」 そんな話しをしていたら、ふと、ある事件を思い出して不安になった。ちょうどこの頃、横浜で無抵抗のホームレスが数人のグループにBB弾などのガスガンで襲撃されるという事件が多発。犯人はまだ捕まってないという。‥‥まさか、こいつらが?。いや、違うにしても便乗犯か‥‥?。 もうひとつの心配はさっきのベレッタ92F。 この時代はガスガン規制の前だったので、ガスを注入するマガジンが頑丈な金属で出来てる物もあり、知識ある者が特殊なボンベを取り付ける等してガス圧を上げ、ちょっと改造をすれば簡単にスーパーパワーの破壊力をもつ“極悪銃”と呼ばれる物が出来上がった。 そして、その“極悪銃”が作れるのはベレッタ92Fだけだった。モモレンジャーが持っていたのは箱出しのノーマルだとしても、残りの3人が持っていたハンドガンもおそらくベレッタ92F。誰かが“極悪銃”を持っていた可能性はある。 それと、いちばん心配なのはミドレンジャーが持っていたライフルだ。 強力なスプリングとバレル(銃身)など数カ所の部品を交換することにより出来上がる“極悪改造ライフル”は、鉄のベアリング弾で長距離狙撃が可能。それは車のフロントガラスを一発で撃ち抜くほどの威力があり、10メートル先の電話ボックスも簡単に貫通した。発砲音もなく実弾と違ってアシがつかないところから、当時の右翼やヤクザが喧嘩や拷問などに使っていた。 無駄にそんな知識があるだけに、オレは他の4人よりも事態を深刻に受け止めていた。最悪のケースは全身ハチの巣によるショック死‥‥‥。 「あーッ! ねぇ? 窓あけてチャカを構えてるよーッ!」 後ろを振り向きながらマリエッタが叫んだ。 「ナニぃ〜〜ッ? 何色の奴だッ?」 「助手席の青い奴ッ!」 「アオレンジャーかッ! まあこのスピードで走れば改造してても窓が割れることはねーよッ!」 運転に集中しているため前方しか見る余裕がなかった。時速100キロを超えると鳴りだす速度警告音が「キンコン、キンコン」ずっと鳴りっぱなしで神経をさかなでするようにうるさかった。 |