● パーティー
あれは昨年のこと。
近所に住む地元の同級生から電話がきた。
一緒に政治家のパーティーに行かないか、という誘いだった。仕事の付き合いでパーティー券を買わされたが、ひとりで行くのは心細いとのこと。
当日はスーツ着用。映画を見たり政治家の話を聞いたりと、3時間くらいで終了するらしい。
ちょうどその日は何も予定がないし、政治家のパーティーとはどんなものなのか少し興味があった。やっぱテレビとかで見るような華やかな感じなのだろう。ひとり1万円の会費だし、それなりのホテルでグラス片手に旨い料理が食えるに違いない。たまには政治の話しに耳を傾けるのも悪くないかも。と、オレは安直にその誘いに乗ることにした。
その会場は九段下にあった。
地下鉄を出て2人してスーツ姿で地上に出ると、すでに会場の近くには運転手付きの高級車が列をつくって停車していた。
へぇーなるほど、ここでやるのか。意外と地味なところでやるもんだ。建造物の回りにはすでにスーツに身を包んだ人達が集まっている。が、入口に近づくにつれ、どうも様子がおかしいことに気がついた。会場に訪れるひとは皆、目つきが鋭いパンチパーマで強面の方々。
「押忍! 押忍! 押忍!」という気合のはいった挨拶が飛び交っている。なんだか想像と違うなぁ。女性参加者の姿もないし…。けっこう体育会系のノリなんだなぁ。
と、戸惑いながらその建造物を見上げると、そこには「日本青年社」と書かれた文字が。愕然としながら、一応、隣にいる同級生に聞いてみた。
「なぁ…これって政治家のパーティーじゃなくて、政治結社
の集会じゃねーの?」
すると悪ぶれる様子もなく同級生はこう答えた。
「うん、そうだよ!。最初に言うと絶対来ないと思ったからさ」
「・・・・・・・・。」
なんというブービートラップ。タダより高いものはない。とはよくいったものだ。日本青年社といえば日本最大の右翼組織である。どうやらオレは右翼のパーティーに来てしまったようだ。
呆れながらも、ここまで来たら仕方ないかと、オレは覚悟を決めてその会場にはいることにした。
1000人入る会場は隙間なく埋まり、その最前列がオレの席。恐る恐る後ろを振り向くと1000人のヤクザに睨まれているような感じがした。
照明が落ちると電話で聞いたとおり映画がはじまる。が、テーマは特攻隊。実写を元に製作したドキュメンタリーな物。その後、テレビでよく見る著名な有名人、政治家の演説を聞いて集会は終了した。
ということで、想像してた旨い料理にも在りつけず、同級生にはホープ軒にて油っぽいラーメンを奢られお茶を濁された。今年は勘弁してください、押忍。