es [エス]
監 督
 オリバー・ヒルツェヴィゲル
脚 本
 マリオ・・ジョルダーノ
キャスト
 モーリッツ・ブライプトライ
 クリスティアン・ベッケル
備  考
 2001年 ドイツ映画 119分
評  価
 ★★☆☆☆

誤って日本語版を借りてきてしまったのがそもそもの間違いか…
△☆※□イッヒとか、○◇☆※シュタインと言ってるドイツ語を聞きたかった……



 う〜、ムカムカする〜なんだか嫌な映画だな〜。そういう映画を久しく観てないが、この映画はそういう映画だった。
 心理モノということで、どれだけ観ているこちら側が感情移入できるかどうか期待していたが、ちっとも感情移入できなかった。ただムカムカと腹だたしかった。

 映画は、タクシードライバーをしている主人公のタレクが「被験者求む」という新聞広告に目を止め、ある心理実験に参加する。
 彼は元新聞記者。おもしろそうな実験なので、その実体験を特ダネに記者復活をもくろんでいた。
 そして、その実験とは看守と囚人とに分けさせられた20人の被験者が刑務所に見立てられた監獄で、それぞれの役割をこなすというモノだった。
 皆、新聞広告で集められた普通の20人であったが、ある者はおもしろ半分で、またある者は高額な報酬が目的でと、この実験に対しては皆、遊び半分で参加していた。
 しかし、ただの役割にすぎなかった看守役と囚人役だが、被験者達は次第に置かれた立場に人格を乗っ取られてしまい、この実験は恐ろしく凶暴な人間の本質をさらけ出す結果になってしまう。

 社会心理学の恐ろしさを描いたモノだが、何がムカムカするって一番腹だたしいのがこの主人公なのだ。こいつが一番のワルなのだ。
 ただでさえ自分を見失いがちな設定の中で、いいネタを書こうとするタレクが扇動して騒ぎを起こしたり、みんなをかき回すのだ。

 マスコミ批判の映画なのかとも思うが、主人公はこういう場合、やっぱり普通の人間の設定の方がいいのではないだろうか? その方が主人公に感情移入できる。観ている側の不愉快さも納得のできる不愉快さになる。
 この映画の場合、主人公が泣こうが叫こうが「お前がやったことだろう」と突き放したい感情が芽生える。そしてムカムカする。
 ラストには行き当たりばったりで知り合った女と浜辺でワインなんかシンミリと飲んでるし……ムカムカも最高潮に達してくるし……。

 しかし、この映画、現代社会の歪んだ本質を描ききっていた。
 先だってある公園で5〜6人の少女が、まだ小さな幼児をソフトにいじめていた。遠巻きに見ていたが、近づいて観察していると、コッチを意識したその中のボスであろう少女が、急に幼児をかわいがり始めた。するとみんな一斉にその幼児をかわいがり始めた。集団心理の恐ろしさをかいま見た瞬間だった。
 そして大人の社会にも似たようなことがいっぱいある。

 この映画は、1971年にスタンフォード大学の心理学部で実際に行われた実験を映画化したのだそうだ。そして、この実験はその後も実施が禁止されているらしい…。