第11回
「SとかMとかってなぁ」

 最近、俺の店でもお客さんの会話でよ〜く聞く。
「あたしSだから。」
「俺Mだから。」
「あんたSだよね。」
「君Mじゃない?」
 別にマックシェイクの話で もTシャツのサイズの話でもない。

 「サディスト」か「マゾヒスト」かということである。「いじめるのが好きか?」「いじめられるのが好きか?」という意味で言ってるらしい。昨今、「SM」という言葉が市民権を得てきたようで、普通の人達が普通の会話の中で使っている。が、あたりまえに使いすぎてんじゃないのか? 本来「SM」って 「うっわ!あんた変態やぞ!!」みたいな人達のことなんやぞ。

 以前、ある飲み屋で知り合いになった女の子がいた。そのときたまたま俺はキチッとしたスーツを着ていた。(このスーツが問題だった。)酔ったいきおいで、いろいろ話をしていくと、「いじめられてみたい願望」があるという事がわかってきた。高校生の頃「S&Mスナイパー」という雑誌を定期購読していたちょっとおませさんだった俺は、わりと偏見無く話をあわせる事ができた。安心した彼女はさらにディープな話を俺にする。俺もさらに深く「S&Mスナイパー」で読んだ知識を披露していく。

 そして、俺は彼女にあるお願いをされることになる。「浣腸してほしい!そしてウンコするとこを見ながらののしってほしい!!」いわゆるスカトロプレイだ。俺はそういうプレイの知識はあったが、やったことはなかった。つーか、ウンコには全然興味なかった。自分以外の生き物のウンコなんか写真でも見たくはなかった。が、「しょせんそんなもんは前戯にすぎんだろう。そのあとSEXできるんやろう..ぐへへへ。」と、たくらみをもってOKすることにした。

 が、あまかった。なめていた。彼女は見られるだけでよかったのだ。SEXなんかぜんぜんしたくなかったのだ。なぜかスーツを着たまんまの男にウンコするとこを見られていじめられたいだけだったのだ!それだけで満足するのだった!本で見ただけの知識と、軽い性欲で彼女に話を合わせていた俺は反省した。もう、変態の人達をなめてかかるのはよそうと。あの人達は深い業を背負っているのだと。

 俺の友人知人の中にも、特殊な性癖をもつ人間が何人かいる。「女のひとが酔っぱらってゲロ吐いて苦しそうなとこを見ると興奮する。」とか「山の中で全裸の女の子を縛って木から吊るして鑑賞したい。」とか「嫁の浮気が発覚したときに怒りと同時に他の男とやってるとこ想像してめちゃくちゃ興奮した。」とか「恋愛対象は若くて可愛い子がいいけど、セックスの対象はキャシー中島みたいな派手なおばはんがいい。しかもいじめられたい。」とかな。ねっ、引くでしょ?引いちゃうでしょ?

 「SM」ってそういうやっかいな性癖かかえこんじゃった人達がしゃあなしでやってる事で、かたぎの人間がうっかり近づいたらいかんような気がするんやなぁ俺的には。変態をなめたら駄目なのよ。うん、なめたらいかん。

 で、俺?俺はどうなのかって?俺はねぇ...XLです。(ギャフン!)