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第4回
「謎の男」 |
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俺の店は、いわゆる歓楽街の真ん中にある。
周りは、スナックとか居酒屋とかがうじゃうじゃある。日本全国どこの街にいっても似たようなもんだと思うが、俺の店みたいなショットバーは小数派だ。となると、ショットバーの存在すら知らないような酔っぱらいも、通りをうろうろしている。で、俺の店は一階で通りに面しているもんだから、おねぇちゃんのいるようなスナックと間違えて入ってくる酔っぱらいもたまにいる。たいがいは、泥酔したおっちゃんで、ドアを開けて覗いて俺の顔を見ると、「チッ」と舌打ちをして帰って行く。たまに、入ってきて「おねぇちゃんおらんの?カラオケ無いの?」と聞いてくるおっちゃんもいるが、そういう人は丁重に帰っていただく。 店をはじめて6年ぐらいたつが、最近は一目見ただけで、そういう人達を判別できるようになったので、すぐにお帰りいただくが、店を始めたころは、よくそういう酔っぱらいにからまれたな。 「なんで、カラオケを置かないのか」と、一時間ぐらいかけてくどかれたり、「絶対、女の子入れてスナックにしたほうがいいよ」と、強く説得されたり、「この店のママはまだ出勤してこないの」とか言われたり。まぁめんどくさいのが大勢いたわな。 で、そんなかでも強烈なおっさんが一人いた。店をオープンした頃から三ヶ月に一回ぐらいだが、午前二時ぐらいに勢いよくドアを開け「ねぇちゃんおらんがかぁぁぁぁ!」と絶叫するおっさんがいたのだ。また、体もでかく、金髪じゃない上田馬ノ助みたいなのだ。いきなりなもんで、俺もびびって「いない、いない」と首を振るしかできないのだ。すると、また勢いよくドアを閉め帰っていくのだ。本当、麻薬取り締まり官のガサ入れか、ナマハゲみたいで心臓に悪い。そんなんが、三年ぐらい続いたが、彼は本当におねぇちゃんがいる事を期待していたのだろうか?たんに、うちの店のドアを開けるのが習慣だったのじゃないのか?で、三年ぐらい姿を見なかったのだが、つい最近ひさしぶりに来た。 「ねぇちゃんおらんがかぁぁぁぁぁあ!!」 一段とパワーアップしていて、ひさびさにびびらされた。いやぁ、おっちゃん元気そうでなによりだわ。でもな、あんたみたいなのがいる限り、俺の店でおねぇちゃんを使う事は絶対ないなぁ。だって、その勢いやったら、おねぇちゃんにキン肉バスターとかかけそうやもん。 |