「おしごと探索 in LA 番外編」
『OH! ダメ店員』の巻

1ナノメートルもヤル気を感じさせない労働者がフツーに働ける国。それがアメリカ。

ひどいヤツはサービス業なのにサービスしない。このダメさ加減は日本じゃちょっとお目にかかれない。

でもこのコラムのネタになるから許すけど。例えばですね・・・

スーパーのレジ打ちながら、ずっ〜と横の同僚と話してるヤル気ゼロ店員。よく打ちモレが出ます。携帯で話しながらレジ打つアホ店員も存在。叱ってくださいマネージャー。でも、そんなマネージャーもヤル気なし。

ファミレスによくいる無表情系のウエイトレス。お客の人数が多くなってくるとオーダーと違うものを持ってくる確率高し。

そのほか、トイレの場所も知らないお客様案内係や、なぜか態度のデカい受付係りなどなど、人をイラつかせる多彩なジャンルのダメ店員がいっぱい。

しかしそんな連中にも慣れちゃって、新鮮味があんまりなくなってきた今日この頃・・・、ひさびさにきました! 目の覚めるようなヒットが。

この夏のある日、友人とサンタモニカでショッピングを楽しんだ私。一息つけようとコーヒーショップに立ち寄りカフェラテ2つを注文。「合計8ドル60セント」と店員にいわれ、カネを払ってレシートをもらい、しばし待機。と、ここまではノープロブレム。

まもなく出てきた2杯のカフェラテ。

おや、注文したサイズより小さくないかい? それによく考えたら値段がちょっと高いね。

うしろの壁にでっかく張ってあるメニューを見ると、私が注文したカフェラテのMサイズは2ドル80セント。2杯で5ドル60セントでしょ。税金入れても合計金額が合わないよ。おまけに出てきたサイズはSサイズじゃないの。

さてここから実況で、ラッパーのアイスキューブをメキシカン風にしたダメ店員と私のやりとり。

私:「ねえ、これ小さいよ。それに値段が高いじゃん」

店員:「・・・」

私:「メニューと値段がちがうじゃん」

店員:「・・・・・・」

私:「なあ、聞いてんのっ?」

店員:「・・・ああ、このメニューは一年前のやつでな、いまは値上げしたからこの値段なんだよ」

私:「はぁ〜???」 
予想外の対応にちょっとひるんで、しばしの間。その後、我に返ってすかさず反撃。

私:「オマエなにいってんの。ワケわかんねぇこといってねえで差額返せよ。そんでもってデカいやつに替えろよ」

と、まだまだ自制心を制御しつつ、おだやかに問いかける私。

よそ見で無言のダメ店員。ナメた態度にスイッチオン。

私:「ヘイッ! とっとと差額のカネ返せよっ! カップもMに替えろよっ!」

するとダメ店員、あきらかに逆ギレ。

私たちに出したSサイズカップをつかむや、目の前でMサイズのカップにドボドボと注ぎかえやがった。

おーっ、そうきましたか。

なめとんかいっ、この不法滞在者(推測)がっ! 

私:「おまえなにしてんだよっ! もういらねえよ、カネ返せっ!」

するとまたまた無視を決めこむダメ店員。怒鳴りつづける私。ニヤニヤしながら成り行きを見守る友人。 うしろにはオーダーを待つ長蛇の列。

そんな取り込み中にもかかわらず、後ろから私の肩をたたく誰かさん。ふり向くと「あの〜〜 コーヒーを1杯おごっておくれ〜〜」と哀れな声でたかってくる白人の浮浪者ババア。ふだんは紳士な私も勢い余って「じゃかましいっ!」と一喝。予想外の対応にビクっとおどろき後ずさるババア。

ふたたびダメ店員に対峙する私。あぁ、いそがしい。

私:「早くカネ返せよっ!」

大声でシャウト。

うしろに並んでいる人々からのブーイングも始まり、とうとう観念したらしくレジから返金するそぶりをみせるダメ店員。

やけに時間がかかりやがるから、なにすんのかと思ったら、なんと全額こまか〜い小銭で返してきやがった。考え抜いた最後の一手だ。

と、突然そんなやりとりがバカバカしくなってきた私。これ以上カラむのも時間のムダと判断しつつ、気を取り直してきっちり小銭を数えきる。支払ったカネよりちょっと多く返してくるあたりがさすがのダメ店員。最後は「バ〜カ」と短く日本語でごあいさつ。

後ろにお並びのみなさん、たいへんお騒がせいたしました。

ふり向けば、嗚呼・・・。海が割れ、道がそこにできていた。

軽くうなずきながらやさしいまなざしで健闘をたたえてくれる人々の列。私はそんな花道をゆっくりと引き揚げてゆくのでした。


おしまい。



.