「今日のところはこれぐれぇ〜で勘弁してやらぁ!」
ボクはおかわり1杯で許された。
そして、お茶を飲んでしばらく寛いでいると、板谷くんが帰ってきた。
「どこ行ってやがった!この鉄砲玉が!ちくしょ〜め!」
「なんだよ!来てたのかよ!それならそうと言ってくれよ!」
板谷くんはケンちゃんの事などそっちのけで、ボクを離れに連れていった。
「そろそろ弓道部の部会に行かなきゃ・・・」
「エエッ!なんだよ!今来たばっかじゃねえかよ!」
「そ、それは板谷くんがね・・・。」
「そーかー・・・こうなったら・・・」
「『こうなったら』って・・・?」
「こうなったら、アレだ!メシでも食ってけよ!」
「いやぁ〜。それが、さっき母屋で頂いたばっかりなんだよ。」
「んな訳ねえだろ!遠慮すんなよ!ちょっと待ってろよ!」
なんでそうなるかなあ?と思ったが、折角の好意を無にしちゃいけないとボクは踏みとどまった。
言われた通りにちょっと待っていると、おぼんにゴハンを載せて板谷くんが戻ってきた。
おぼんの上には他にお味噌汁にハンバーグなんかが載っていた。
板谷くんは、見掛けに寄らず、
簡単な料理ぐらいは自分でやるようなので、ちょっと感動した。
でも、既にお腹はいっぱいいっぱいだった。
ちなみに、さっき母屋で頂いたのはメンチカツで、さらにその前にはスタ丼と、
普段はあまり肉を食べないのに、その日に限って、肉、肉、肉の波状攻撃だった。
「ご馳走さま!」
ボクは辛うじて1杯完食した。
「オッ!じゃあ!おかわりだな!ちょっと待ってろよ!」
「も・・・もういいよ。いいよ。もうお腹いっぱいだからさぁ」
「なに言ってんだよ!遠慮すんなよ!
そんな事ばっか言ってるから仙人みたいだって言われちゃうんだよ!まったく!」
「それに、ホントにもう弓道部の部会に行かなきゃなんで・・・。」
「ウエエッ!なんだよ!それならそうと言ってくれよ!」
それは、さっき言ったような気がしていた。
なんとか今度もおかわり1杯で許された。
「ホントにもう行かなきゃだから・・・。悪いなあ。また今度ね。」
「そーかー・・・。そいじゃあー分かった!オレもいくよ!」
「エッ・・・!」
なんでそうなるかなあ?と思った。
「いいよ!気にすんなよ!」
「そういう事じゃなくって・・・。」
「いいから。いいから。遠慮すんなって!
『急がば回れ!』って言うだろ!行くゾ!」
そういうと板谷くんは車に乗り込んでボクを手招きした。
そうして、なぜか弓道部とは関係ない板谷くんが部会へ出席する事になったのでした。
まるで羊の群れへ狼を放り込むようなもんだ。
そう思ったけど、成るように成るしかないな。
とボクは車に揺られながら開き直っていた。
「んでッ!今日はなんだ!」
「あ、あの〜・・・な、夏の合宿をどこにしようかって事なんですけどぉ・・・。」
ちょっと戸惑いながら部長が答えた。
「んでッ!」
「い、以前は戸隠に行っていたんですけど・・・、
さ、最近は湯田中にも行くようになったりして・・・、
こ、今年はどうしようか?という訳なんですよ・・・。」
「そいじゃあよー!去年はどうしたんだ!」
「きょ、去年は戸隠ですよ・・・。」
「んじゃあ、今年はその『なだらか』なとこにすればいいじゃん!」
「・・・み、みんな、そ、それで、い、いいかなあ・・・??」
「・・・。」
「ハイ決定!ハイ決まりー!」
特に、反対意見もなく、合宿先は湯田中って事に決定した。
「んじゃあ、君たちもアレだ!それぞれ用事もある事だし、お盆すぎのクラゲじゃ〜あるめえし、こうやってプカプカしてるだけじゃあ埒明かないって事で、もうお開きにした方がいいんじゃねーのか?!」
板谷くんがそう言うと、
どういう訳か、それもそうだって事になって部会はものの5分でお開きという事になってしまった。
「ツーッ事で、めでたし。めでたし。
んじゃあ〜スタ丼でも食いに行くか!!」
「うぇえ〜!もう勘弁してくれ〜!」
おしまい。
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