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新幹線に乗っていたら、熱海からすごく浮かれた家族らしき集団が乗ってきました。50代女性と、若い成人男性女性が2人ずつ。その5人は早速、ああでもないこうでもないと騒ぎ立てながら私の隣の列のイスを対面シートにし、男性がこう切り出しました。
「さあババ抜きやろう!・・・ババ抜きってなんかのカードがババになるんだっけ?」
これは昭和39年の新幹線の話ではありません。平成生まれの子たちにも思春期が訪れようという昨今、「旅行を盛り上げるゲーム」として迷わずババ抜きをチョイスする成人家族。さらにまだルールが把握できていないとはなんてフレッシュなのでしょう。
平日昼間の新幹線は主に出張に向かうサラリーマンで占められます。皆、これから対峙しなければならない「アウェー」での闘いを前にやや緊張気味です。そんな中、何を恥じることもなく「あーっ!」「よっしゃーそろったー!」と大騒ぎする家族。本当に楽しそうなのである意味では少しうらやましく思っていると、やはり最初の男性が一点の曇りもない目で(顔を見たわけではありませんがたぶん)、耳を疑うようなことをつぶやきました。
「でもさあ、上がったヤツがカードをもう引かないのって不公平じゃねえ?」
しばし考えるほかの4人。やがて50代女性が驚くべき結論に達しました。
「・・・・・そうだねえ。」
奇跡の交渉成立です。言ってみるものですね。「ゲーム」というものの概念を根底から覆すこの大逆転劇。この家族だけが到達したこの「高み」に誰が異論を挟めますか。私は黙って瞳を閉じました。
驚くことに、私が新横浜で降りようとしたときもそのスリリングな「ニューババ抜き」の1回戦はまだ終わっていないようでした。一体どんな画期的ルールを開発したのでしょう。「上がったひと」もカードを引き続けたとしたら、最後にはババ1枚だけを「はいコレ。」「はい。じゃコレ。」と順々に手渡していくことになるのでしょうか。
なるほど。「喜びも悲しみも分かち合う」のですね。そう、本来あるべき「美しい家族の姿」がそこにはありました。でも感動はありません。「シアワセの形ってさまざま」とだけ思いました。。
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