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内助の功
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身体の重たそうなサルと食の細そうなブタが天竺を目指して旅をしている。 あれじゃ天竺(と思ったらまだお釈迦様のてのひら)にたどり着いてムホムホとごちそうをむさぼるのはブタじゃなくてサルの方じゃねえの、と眉をひそめていらっしゃる皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、「旅」 といえば私も仕事でたまに地方局の旅番組に関わることがある。 で、ウラを少し知っているものだから、自分が視聴者となったときは画面に映るものをそのまま信用しない。 本当にいい宿か、料理はうまいかを判断する根拠は 「出演者の表情」 ただひとつだ。 最近は 「グルメレポーター」 が脚光を浴びている。 阿藤快、木之元亮、三笑亭夢之助、ヨネスケあたりをなんなら “大御所” 扱いして、 「どう表現するか」 を 「芸」 として持ち上げたりする。 彦摩呂に至っては「味のIT革命や〜!」 等が実は彼を真似した土田晃之が考えたボキャブラリーでも、キャラクターとしては 「自分の真似の真似」 を期待される古畑任三郎の域。 しばらくその地位は安泰かも知れない。 ただめっきり太って顔が“迫文代”化しているのは気懸かりだ。 でも「アイツうまいこというんだよな」 というのがわかってくると、レポーターがいくら目をムイて風呂や料理を褒めたところで 「本当は大したことないのかも」 と勘ぐりたくなるのが人情だろう。 夕方のニュースで6時16分頃各局一斉に始まるグルメ特集などは、カメラ目線で 「見てくださいこの霜降り!!」 「あーん噛まないのに溶けていくう・・・」 と闇雲にうるさいだけ。 “キュー出し”されて言ってるのがバレバレで、本当においしいとしてもむしろ興ざめする。 いわゆるレポーターではなくても、「旅番組の常連」 がいる(ほぼテレビ東京の 「いい旅・夢気分」 と 「土曜スペシャル」 に限られるが)。 どんな経緯で選ばれるのか、しょっちゅう出てくる “おりも政夫ファミリー” の子供の成長ぶりは手に取るようにわかるし、“見栄晴” 母子が同じ顔なのも常識だし、桂菊丸・泉アキ夫妻がなんとかうまくいってることも知ってる。 知らないけど。 世間の流行り廃りなどどこ吹く風で続いているテレビ東京の旅・グルメ番組は、もともとなのか段々そうなっていったのか、余分な装飾や 「段取りくささ」 があまりない。 企画によっては、知らないクセに 「さあさあ着きましたよ。 ここの“蟹づくし”がもうね・・・」 的わざとらしさも時々あるが、全く予備知識なしで現地へ赴き、自然に出てくる言葉を活かすのがいい。 ただ、段取りを排除してありのままを伝えようとしても、旅人の性質によってやはり番組の雰囲気は変わってくる。 ポイントは彼ら・彼女らが 「素(す)を見せるか否か」 だ。 目黒祐樹は奥さん(元女優の江夏夕子)とよく出てくるが、うまいものを食べても、いい湯に浸かっても基本的には二枚目を崩すことなく 「俳優のまま」。 その目は下まつげも鮮やかに夕陽よりもっと遠くの何かを見ている。 パンツ脱いでるのに。 「素はお茶目」 が浸透してしまった兄の分まで二枚目を取り返そうとしているのか。 確かに俳優が素を見せることについてはデメリットもあるかも知れない。 でもせっかくのいい湯だもの、俳優の顔を忘れてくつろいではどうか(役者バカ・藤岡弘、の旅は別格。 彼に素もクソもない。 だって武士だから )。 例えばイメージ的には 「わたし女優よ」 の典型に見える夏樹陽子は意外にあっけらかんとしていて、案外無防備な表情のまま旅をする。 それを見ていると 「この人がいいと言うならいいのかも」 と信用したくなる。 だから彼女の旅は好きだし、他にも “ひいき” にしている俳優はいる。 三ツ木清隆夫妻の旅もいい。 しかしひねくれ者の私は 「見るからにいい人」 の風貌で的確なコメントなどをキッチリしているところに 「仕事」 を見てしまう。 「素の表情」 しか頼りにしない私に言わせれば旅番組なんて 「何もしない」 のが理想なのだ。 そこで倉石功夫妻。 倉石功といえばTBS黄金のドラマ史を語る上で外せない 「ザ・ガードマン」 を筆頭に出演作は数多い。 「ぴったしカンカン」 の準レギュラー、「スクールウォーズ」 の相模一高監督といえば思い浮かぶ人も多いだろう。 やはり旅番組の常連で、別に気の利いたコメントをするわけではないがとにかくいつも機嫌良くにこにこしている。 それだけでいいのだ。 俳優の時はまるでアメリカンコミックのように “ニカッ” と笑う “ザ・ハンサム”。 その極太の線でガッと描いたような顔を弛緩したニンマリ顔にするのはいい湯とうまい飯だけではない。 大きいのは恋女房の秀子さんの存在である。 その秀子さんとの旅がとてもいい。 なんといっても秀子さんがかわいいのだ。 きれいな人なので元女優か何かかも知れないが、地味だし、一歩下がって夫を立てる。 どこへ行っても何を見ても夫の言葉を受けて控えめに “ねーあらーステキねーうふふふ” と清らかに微笑む。 難しい顔の役が多い倉石功をスキだらけで人のいい夫に解凍する秀子さん。 入浴シーンだってOKさ。 一見冴えない町の魚料理屋だろうが素泊まりの宿だろうが 「テレビのおかげで連れてきていただいて」 と心の底から旅を喜んでいるように見える。 これ大事。 連れて行ってあげれば北は北海道から南は南千住まで、下は深海から上はルララ宇宙まで、どこだってきっと喜んでくれる。 すっかりファンになってしまったのでこの夫妻が以前番組で泊まってにこにこしていた熊本・黒川温泉の宿に思い切って行ってみた。 渓流沿いの露天風呂も、丁寧で気配りの行き届いた料理も素晴らしく大満足。 と同時に私は (秀子さんこんないい宿に泊まれてよかったね) としみじみ思ったのである。 秀子さんが喜ぶこと、それはもはや功だけのシアワセではない。 よく落ちる洗剤を見つければ (秀子さんも使えばいいのに) と思うし、デパートでステキなコートを見かければ (あれ秀子さんにどうだろう) と頭の中で着せてみる。 テレビ東京HPへ 「倉石功夫妻の旅がとてもいい」 とメールを送ったこともある。 それも二回。 ご本人にそれが伝わればいいなというのもあるが、そういう視聴者の声を反映して倉石夫妻が数多く番組に起用され、もう “旅” だけでメシを食えるようにならないものかと思う。 俳優の妻として秀子さんがそれを喜ぶかどうかは知らないけど。 |