瞳を閉じて

 よく 「無くて七癖」 などというように、自覚していないものも含めて人には必ず癖があります。 かくいう私も、アゴから首にかけての 「ヒゲのそり残し」 を爪で挟んで抜くことがどうしてもやめられません。

  慌てて鏡の前に行くのはビギナーですね。 まずは指先の感覚を極限まで研ぎ澄まして憎いアイツを探し当て、一気に抜こうと何度も何度もチャレンジします。 多少の出血は覚悟の上です。

 それでも抜けない時になって初めて鏡の前に行きます。 「アゴは上げるが視線は鋭く下へ」 という、そんなことしていたらあとで菅原文太にボッコボコにされるのにイキがっている端役時代の川谷拓三のような表情でヒゲをロックオン。 やっとの思いで抜けた頃ようやく 「オレ何やってんだ」 と我に返るのです。

 テレビを観ていても、よく目につく芸能人の癖があります。 ダウンタウンの松ちゃんが大喜利形式の番組でフリップを出すときにそれを一度ペコンと曲げる。 明石家さんまが 「今日の説教部屋行き、今日の説教部屋行きは・・・」 と繰り返す。 ケミストリーがハモる。 木村太郎が台風中継に行く。 清水圭が面白いことを言わない。 火野正平が女性に優しい。 松崎しげるの肩パット。 名が ”もこみち” 。

 書いてみたかっただけで関係ないものもありますが、どれもこれもその人が 「ついついやってしまうこと・やめられないこと」 です。 それが面白おかしく処理できるようなものならコージー富田や原口あきまさの芸を介して楽しめますが、そうはいかない 「直した方がいいんじゃないの」 という癖があります。

 わたしがずっと昔から気になっていたのは竹下景子の癖です。 演技の時には全然そういうことはないのに、インタビューなどに答えるときこのひとはよく 「目をつぶって話す」 のです。 おい寝てんのか。 私にとって竹下景子とは 「お嫁さんにしたい女優」 でも 「三択の女王」 でもなく 「目をつぶって話す人」 に他なりません。

 今は風邪薬のCMぐらいでしか見かけない竹下景子ですが、最近ある番組でインタビューに答えていた時もそれはそれは気持ちよさそうに目をつぶってました。 あんまり長い間つぶっているので手に汗握るくらい。 そればかり気になって彼女がひとたび目を閉じると私は動けなくなります。 「逆メドゥーサ」 ですね。

 竹下景子に限らず他の芸能人(松本明子や秋野暢子)、そして皆さんのまわりにも思い当たる人がいるように、「目をつぶって話す」 という癖はひとつのジャンルとして一定割合で存在するようです。 なぜそんなことをするのでしょう。 私はひとつの仮説として 「まぶたの裏に何か書いてあるんじゃねえの」 とニラんでいます。