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マンションに住むものとして、今回の 「耐震強度偽装問題」 は他人事ではない。 地震なんかなくたって揺れている。
うちのマンションの掲示板にも先日 「当マンションに姉歯建築士は関わっていません」 という紙が貼られていたがそういうことじゃないでしょ。 構造計算は大丈夫なのか、施工は手抜きしてないのか、疑いだしたらキリがない。
このコラムの第5回で書いたように 「じゃあ誰が大丈夫って言えば本当に大丈夫なの」 という話だ。
時期が重なったのは偶然だが、我が家にもちょっと問題があってクレームをつけ先日補修工事をした。 奇しくもそれが例の証人喚問の日と重なったためイヤミ半分でテレビ中継をつけっぱなしにしていたが、それに気を取られたのは業者でも誰でもない私自身で、
「質問が長い」 と世間の非難を浴びた自民党の議員に対してリアルタイムで自分のブログ上に於いてダメ出しをしたほどだ。 仕事そっちのけ。
今回あまりにも登場人物が多いせいで各報道機関も攻撃の矛先が散ってしまっているような感がある。 キャラクターの濃い人物が演歌を歌っていたり国会でキレたりしたらそこへ目が行きがちなのもやむを得まい。
しかし私が気になるのは 「設計の時点で違法性を認識していたのは誰なのか」 ただ一点である。
姉歯氏の証言では 「鉄筋の量を減らすよう木村建設東京支店長より指示があった」。 一方で東京支店長は 「それはあくまでも法令遵守の範囲内で、という意味」
と言う。 姉歯氏が 「再三指示され、拒否すると 『事務所を替える』 とプレッシャーをかけられた」 と証言すると東京支店長は 「 『替える』
ではなく 『他の事務所もあるよ』 と言っただけだし、それは姉歯氏だけではなく他の事務所にも言うこと(なので姉歯氏ピンポイントのプレッシャーというわけではない)」
という。
そして後日 「姉歯氏にだけそういう指示をしたわけではない証拠」 として提出された資料の中で、姉歯氏と同程度、またはそれ以下の鉄筋量で構造計算をした事務所が複数あることがわかった。
「第二第三の姉歯が存在か」 と背筋に冷たいものが走った。 しかしそれら設計事務所から意外なコメントが発表される。 「木村建設からのプレッシャーを感じたことはない」
「バランス良くやればこの鉄筋量でも基準に達する設計はできる」 「(偽装物件は)アホの建築士がやったセンスのない仕事」
だというのだ。
でもそれが本当の事なのかはやっぱり私たちにはわからない。 私が見たニュースの中では 「本当にその鉄筋量でも耐震基準を満たすことは可能なのか」
を検証したものはないのでそこが釈然としないのだが、ここではひとまずそれが本当だ、それで可能なのだ、と仮定しよう。 するとそれはそれで怖いことになる。
構造計算を依頼する側は 「安く上げたい」→「それには鉄筋の量を減らすのが手っ取り早い(らしい)」→「鉄筋減らせよ」→「構造のことはわからないけど専門家なんだからいろいろな方法考えてみろよ」→「できないならいいよ、他にできるヤツいるから」
依頼された側は 「基準を満たすにはこれ以上鉄筋減らすのはムリ」→「まだ減らせと言われた」→「基準以下のものを作って審査をごまかすしかない」
もしこうだったら、姉歯氏だけが、しかも心の中だけで 「違法になっちゃうのに」 とひとり悶々としていたのだったらどうしよう、と思ってしまうのである。
「安く上げろ」 という指示を遂行するために 「腕」 のない建築士はデータを偽装することしか思いつかなかった。 もしそんなことだったら住民の苦しみは釣り合いがとれないほど大きすぎる。
「このカネでジュースとパン買ってこい。 買ってこなかったらもう遊んでやんねえぞ」
と言われたパシリが、安い店があるのを知らずに違う店でカネが足りず万引きしてきた(しかも 「万引きGメン」 が居眠り)。
いやもちろん万引きは立派な犯罪だけど本当にただそれだけのことだったらどうしよう。 「建築士がイジメ怖さにバカなことしちゃいました」。
そんな 「極悪不在」 のしょぼい結末だったらどうしよう。
各所に強制捜査の手も入った。 責任の所在はハッキリしなければならない。 マンション住民のひとりとして真相究明を熱望している。 上に書いたような消化不良になることはもちろん、「極悪はいたが支払能力がない」
も避けたい。 難しい。 それから何より大きな地震が起こりませんように。
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