「第一回」
始めましてアキバ系ライターのしみずぺと子です。
現在私は秋葉原のとあるオフィスに居候させてもらって、色々なところで文章を書き散らしたりしているわけですが、仕事の拠点としている秋葉原=アキバはオタク色が濃い物や人が多く、アニメやゲームなどのオタクの聖地です。そんなアキバの店や物、そして人々をレポートしていこうと思ってます。
まずは第一回目は私がオタクになったお話しから。

 今から約8年ほど前の15歳の頃。
人と話すのが苦手で中学は不登校だった私は、なんとか高校に入学する事ができた。その高校は四年制の定時制の工業高校。
 当時「学校」という映画を見てた私は「定時制って大人が多くて、みんなそれぞれの問題を抱えつつも健気に学校生活を過ごすところなのね」と思っていた。

 だけど入学してみると、そこには仕事帰りのサラリーマンが勉学に励む姿などどこにもなく、廊下に唾を吐いたりシンナーを吸ったりするヤンキーばかり。
 しかもその高校のある地域はオヤジ狩り発祥の地であり、入学式の帰り道では私と同じ一年生のヤンキー達が「スカジャン狩り」というスカジャンを着た人物を一心不乱に狩っていくといったイベントを目撃してしまい、入学して数日間は早く学校を辞めたくて仕方がなかった。
 ただ、そんな怯える私を唯一繋ぎとめたのは偏差値の低さ。
歴史の授業は録画してあった「知ってるつもり」を見るだけ、英語の時間は「ET」の映画を見るだけの授業内容。数学にいたっては二桁の足し算で、生まれて初めてテストで100点を取る事ができた。
 そんな感じで最初の一年間は、女の子という事もあってかヤンキー達にケンカを売られることも無く、優等生として穏便に過ごす事ができた。

 だけど2年生に上がったある夜の帰り道、突然同じ高校のヤンキーから声をかけられたのだ。
 それは学校内でも有名なヤンキーのRという男の子で、彼は族からオファーが来ても断り「族長の特攻服を譲る」とまで言われても「一人で走るのが好きだから」と一匹狼の走り屋を自称しているような子だった。

「●●学校の子ですか?僕、機械科のRって言うんですけど。帰り道が同じなんて偶然ですね」

「そ……そうですね」

「そういえば入学式の時にスカジャン狩りしてたでしょ僕ら。あのとき道を通してあげたの僕なんですよ。覚えてる?」

「…………」

 普段ダルそうにタバコを吸ったりしている彼のイメージとはまったく違った紳士的な態度。私はそんな彼に心を打ち解け、その出会いがきっかけで彼と付き合うようになった。
 Rと付き合い始めてからというもの、私はタバコと酒の味を覚え、髪の色や服の趣味も代わり、自分の中で彼に見合った彼女を演じる為に、どんどんとヤンキー風な風貌へと変わっていった。
 生活態度も180度変わり、昼のバイト後は居酒屋で一杯飲んでから登校、そして給食だけを食べて下校し遊びに行くといった生活をし、学校の成績も面白いくらいに下がっていった。

 そんなある日、初めてRの家へと行く事になり、彼の部屋に入ると、部屋の壁には大きなマンガの女の子達のポスターが何枚も貼ってあった。
 アニメのキャラクターにしては露出度が高く、衣装はほとんどセーラー服とかナース服。そしてなんか白いベタベタの液がそこに書き足されていて、その白い液体をかけられた女の子達が恍惚とした笑みを浮かべているのだ。
 当時の私にはそれが一体どういう絵なのかさえ分からず、あまりそのポスターの内容に関らないようにして彼の部屋でマンガ「特攻の拓」などを読む事にした。そしてそのマンガを読んでいてなんとなくそのマンガのキャラがRに似ていたので「Rって、このキャラに似てるね」と言うと、Rは照れながら頷いた。そして思い出したように突然部屋に張られていたポスターの一つを指差したのだった。
「俺ね、このパソコンゲーム好きなんだけどね、初めてぺと子を見たとき、格好とかこの子に似てたんだよね」
 ニヤニヤと笑いながら、私とそのポスターを何度も見比べるR。
 それが私が初めて見たアキバ系オタクの笑みだった。

 ちなみにそのポスターのキャラクターは可憐なお嬢様で、私とは髪の毛がウェーブがかかっている以外、どこも似ていなかった。