「第六回」

 みんな少なからず嘘をついて生きていると思う。
 子供の頃などは自分の満足感を得る為に嘘をつくこともある。
 自分をもっとかっこよく見せたい、バカにされたくない、という理由から見栄を張る嘘をついてくのだ。
 そしてそんな嘘はやがて大人になるうちに、つじつまあわせや、その場をしのぐ為に使われるようになる。
「風邪気味なので今日は休みます」とか「その日はちょっと法事で……」などを使ったことがある人も多いのではないでしょうか?

 さて、今回はそんな嘘と夢の話について。
 オタクな自分が言うのもなんですが、どうしてこうも分かりやすい嘘をつくのだろうかというオタクがいます。
 特に学生時代のオタク達の嘘は、ずば抜けて痛い嘘ばかり。
「あのアニメの声優、実は私がやってるの」とか「私の彼氏、神父さんで教会でキスしちゃったの」など、考えなくとも嘘だと分かるのが更に痛さを増してます。
 だけどこれはオタクの私から言わせて貰えば嘘ではないのです。
 「こうだったらいいなぁ」という憧れが口に出てしまっただけ。特にオタクの女の子は想像力豊かです、少女マンガのヒロインに自分を置き換え涙を流す事だってできます。
 なので私も中学時代は沢山の嘘と言う名の憧れを口にしてきました。
 中学の頃、私はヴィジュアル系バンドが好きだったのですが、ライブに行くとファンの女の子達もすごく嘘をついてました。
「ボーカルの人と付き合ってる」とか「バンドメンバーと飲みに行った」とか、なまじ実在の人物がいるので嘘かどうか見分けるのも大変。でもって自分達も嘘をつくから相手の嘘に対して凄く厳しいのです。
 そして私の憧れの嘘も周りの友達仲間から激しく突っ込みを入れられる事がありました。
「私ね、この前あのバンドのギターさんにナンパされちゃった!」
「へぇすごい〜、いいナァ〜どうやってナンパされたの?」
「外で出待ちしてたらね、スタジオ出てまっすぐに私の前まで来て『僕の作ったカレー食べにいかない?』って誘われて、部屋まで行っちゃった♪」
 我ながら、さりげない人間臭さを入れた良い嘘だと思ったんです。
 だけど友達はやはり信じていないらしく、信じたフリをしてすぐに突っ込んできました。
「やぁ〜ん♪いいナァ〜。今度私にも紹介して〜」
「うん、言っておくね、でも彼忙しい人だからなぁ、すぐに会えるかどうかはわからないなぁ」
 会わせられるわけないんです。会えないから嘘ついてるのに、乙女の夢を語ってるんだからそこらへん汲んで話合わせろよ、と心の中で思いながら私は上手く嘘を突き通そうとしました。だけど友達は許してはくれせんでした。
「じゃぁサインだけでもお願いっ!!」
「え……で、でも――」
「サインくらい簡単じゃない? ね?」
「う……うん、分かった! 任せておいてっ!!」
 こうして私は文房具屋に色紙を買いに向かって、家で必死にサインを書く事になりました。 見本に雑誌に乗ってるサインを見ながら、色紙に薄く鉛筆でサインの下書きして、その後油性マジックで集中しながらゆっくりとなぞってくんですが、そんな事をしてると、自分なにやってるんだろって気持ちになって、途中で面倒くさくなって捨てました。
 その後私は時折嘘をついたりしながら生きてますが、アキバに行くと面白い嘘をちらほらと耳にします。
「ごめん俺、もう帰らないといけないんだ」
「そんな事言って、どうせ帰ってエロゲやるんだろ?」
「違うよっ!」
「いや、お前は絶対エロゲだ」
「だから違うって!!」
「じゃぁエロアニメだろ」
 そんな心温まる友達同士の会話や、
「僕の彼女すごい可愛いんだ」
「どこで出会ったの?」
「夢の中」
 などの素敵な憧れの入った嘘が飛び交っています。

 嘘はオタクには限りませんが、オタクの夢ほど結構現実離れに聞こえると思います。でも他人に迷惑をかけていないなら嘘をついても夢を見てもいいのでは無いでしょうか?
 ただ夢を見すぎると、現実が辛く感じてしまうし、嘘をつきすぎると人間性が疑われる事になるのでほどほどが大切なんだなぁと思う。