【第四回 はじめに4 〜レッスン〜】


 とりあえずダイエットしよう、決意はしたものの、そう簡単に痩せられる訳はなかった。
 元が100キロ以上あるだけに、運動や食事制限ですぐに数キロは落ちるのだが、ちょっと気を抜くと元に戻ってしまう、その繰り返しだった。なんとか効率良く痩せる方法はないものかと、いくつかのスポーツクラブや施設を見て回った末、去年の3月、あるフィットネスクラブに入会した。

 そのフィットネスクラブはマシンジムやプールの他にスタジオもあり、そこで行われている各種レッスンは誰でも月会費のみで受けることが出来る。たいして興味はなかったものの、受けなきゃ損だというセコい考えもあり、とりあえず幾つかのレッスンに出てみる事にした。

 最初に出た「はじめてエアロビクス」は、まあ面白かった。思ったより運動量も多いし、たまには出てみるのも悪くないかな。
 次に出てみたのは「ヒップホップダンス」。一体どんなダンスなのかよく分からないが、スタジオ内を見回すとオジさんやオバさんも多いし、エアロビクスと似たようなもんだろう。
 そんな事を考えていると、背の高い20代半ばくらいの金髪の女性が、ニコニコしながらスタジオに入ってきた。彼女が先生か。ダンサーだと言われればそんな感じもするが、こんな所で本格的なダ
ンスを教える訳もないだろうし、きっとたいした事ないさ。

 60分後。ヘロヘロになった僕は、自分の考えが間違っていた事を知った。「ヒップホップダンス」はかなりハード、且つ本格的なものだった。先生は、映画『ブレイクダンス』に出てきたようなステップを繰り出し、軽やかに踊っていた。更に驚いたのは、レッスンを受けている会員の中でも、常連らしき人たちは先生のお手本と同じように踊っていたのだ。
 後でスタッフに聞いてみると、先生はMINAMIさんといって、ダンススクールの講師も務めている。この「ヒップホップダンス」のレッスンは、ダンススクールの初級クラスとほぼ同じ内容である。という事がわかった。

 ダンスなんて僕には無縁だと思っていたが、このレッスンを受け続ければ少しは踊れるようになるかもしれない。そう思った僕は、週に2回あるMINAMI先生のレッスンには必ず出る事にした。
 スタジオはガラス張りになっていて、マシンジムからスタジオ内の様子を見ることが出来る。カッコ良く踊る女の子たちの後ろで、舞の海のようなデブがドタドタと踊っている姿は、傍から見ると笑える光景だったろうが、そんな事はまるで気にならなかった。
 レッスンの無い日も、マシンジムやプールでキ○ガイのように体を鍛えまくり、スタジオが空いている時間には、一人でステップの練習をした。すっかりダンスにハマってしまったのだ。

 3月初めに入会した時点では100キロあまりあった体重が、ダンスを始めてからは激減していった。入会して3ヶ月目の5月末には80キロ。いつの間にか20キロ以上痩せていた。

                         (続く)