【第五回 はじめに5 〜サイン〜】


 神奈川県伊勢原市にあるダンススクール「STAGE BE−ALL」。6月初め、僕はMINAMI先生の紹介でそこに入会した。フィットネスクラブのレッスンだけでは、物足りなくなってしまったのである。
 
 会員は小学生から社会人までと幅広く、タレントを目指す子や、既にダンスチームで活躍している人、60歳を越えてからヒップホップダンスを始めた人など、実に様々。
 豪快な女社長のムッシュさん。どんなダンスも軽やかに踊る、リーダー的存在のMINAMI先生。小学生と間違えそうなほど小さくて可愛いが、ダンスは抜群に上手いRUMI先生。能天気で爽やかなマッチョのYO−HEI先生など、インストラクターやスタッフも個性派揃いだった。
 会員もスタッフも、みんな真面目で明るく、礼儀正しい。そんな人たちと一緒に踊り、語り合う。それもダンススクールに通う楽しみの一つだった。
 
 肝心のレッスン内容は、さすがにフィットネスクラブとはレベルが違い、ついていくのがやっとだったが、踊る事自体がとにかく楽しかった。昼は仕事、夜はフィットネスクラブで体を鍛え、ダンススクールで踊る。そんなちょっとしたトラボルタみたいな生活が、僕の日常になった。

 ちょうどその頃、ゲッツ板谷のコラム集「戦力外ポーク」が発売された。同書には僕がダンスを始めるきっかけとなった「化粧」も収録されていた。この「化粧」を読んだおかげで、今では充実した毎日を送っている。そう思うと感慨深かった。ありがとうお肉ちゃん、いや板谷さん。

 その「戦力外ポーク」発売を記念して、「パチンコ必勝ガイド」誌上でキャンペーンが行われた。本と感想文を送れば、サインをして送り返してくれる。しかも返送分の送料は無料という太っ腹企画。早速応募する事にした。サインが欲しいというより、板谷さんに感謝の気持ちを伝えたかったのである。

 僕はダメなデブでしたが、「化粧」を読んだのがきっかけでダンスを始め、20キロ以上痩せて友達も沢山できました。ありがとうございました。
 なんだか、怪しげな通販グッズの広告に載ってる体験談みたいな文章になってしまった感想文を本に添え、必勝ガイド編集部に送った。
 
 数週間後、返送されてきた「戦力外ポーク」。どんなサインかと、表紙をめくって驚いた。

 「ブハッハッハッハッハッハッハッハ!!
 今回送られてきた感想文の中で1番面白かったぞ。
 ちなみに、君の感想文があまりにも面白かったので、
 ウチの家族やキャームなんかにも見せたら、奴らも腹抱えて笑っとったぞ。
 (中略)次回も必ず感想文を送って下さい。板谷家ぐるみで楽しみにしてます」
 
 サインと共に、このような事が1ページびっしりと書き込まれていたのである。

                         (続く)