【第十五回 第二部5 〜番長〜】

 この第二部を開始する際に、僕の今までの人生を振り返ってみた。別にたいしたことも無く、いまいちパッとしない人生である。
 嫌な思い出も数多いが、中でも最も嫌な時期、それは間違いなく中学校に入学してからの一年間だろう。

 入学早々、同じクラスの斉藤君と仲良くなったのだが、この斉藤君が実はものすごい不良で、入学して一ヶ月と経たないうちに皆から「番長」と呼ばれるようになり、更に同級生の不良達を集めて番長グループを結成したのだ。

 僕も番長と仲良くなったのが災いし、半ば強制的に番長グループの一員にされてしまった。といってもチビでヘタレな僕は当然グループでも一番下っ端。簡単に言うと奴隷のような存在だった。番長の気分次第で毎日のように殴られたり蹴られたり、「面白そうだから」という理由で、ロケット花火を口に咥えさせられ、火をつけられたこともあった。
 
 担任の上田先生は全く気付かなかったのか、面倒くさかったのか、番長グループにはまるで無関心だった。告げ口でもしたら番長に何をされるか、怖くて自分からは何も言えなかった。それに、上田先生の無関心ぶりを見ると、相談しても無駄だと思った。

 両親にも相談しなかった。この学校にいる限り根本的な解決にはならないし、無駄に心配を掛けるだけだと思ったからだ。かといって他に相談相手も無く、番長グループから逃げる手段も見つからず、奴隷の日々は続いた。

 勉強どころではなく、成績はどんどん下がっていったが、そんな事を気にしている余裕は無かった。どうしたら番長に殴られずにすむか、そんな事ばかり考えている毎日だった。

 地獄のような一年が過ぎ、二年に進級すると、幸運にも番長グループのメンバーたちとは別のクラスになり、担任も生徒から人気のある森住先生になった。
 それでもしばらくは番長たちに呼び出され、付き合わされる事もあったが、それも徐々に減っていった。下っ端の代わりなんていくらでもいたのだろう。とにかく、ようやく平穏な学校生活を送る事ができるようになり、新しい友人もできた。

 
(続く)