【第二十九回 料理対決 1】 

 2005年末、ポク蔵のお寺で、「第二回ゲッツファミリー対抗料理対決(&忘年会)」が行われました。
 この料理対決、04年の第一回大会は板谷家で開催されたのですが、今回は人数が大幅に増えたので、ポク蔵のお寺にある集会場を使う事になったのです。

 12月29日、会場に到着したゲッツファミリーの面々は、各々料理を入れた鍋やらタッパーやらを抱えて早くもやる気満々です。

「ポク蔵さん、ご飯どこっすか?」
挨拶もそこそこに、いきなりこんな事を尋ねてきたのはハック。
「おうハック、何作ってきたの?」
「カリーっす。ご飯どこっすか?」
ニコリともせず、質問を繰り返すハック。カレーをわざわざ「カリー」と言うあたり、こだわりが感じられます。

「ご飯なら今炊いてるよ」
と、テーブルの上に置いてある炊飯器を指さすと、
「がっ、あっ、あれっすかぁ?」
ハックは奇声を発しながら炊飯器に近づいたかと思うと、いきなり蓋を開けて、中身をチェックし始めました。
「なっ、何やってんだハック!炊飯中に蓋あけたらダメだろがっ!」
「いやポク蔵さんこれ普通の炊飯ジャーじゃないっすか!足りないっす!これじゃ全然足りないっす!」
 唇を小刻みに震わせながら足りないっす足りないっすと連呼するハック。軽いパニック状態に陥っています。

「いや、少なく見えるけど五合以上炊いて・・・」
「五合!全然足りないっす!板谷さんが『ポク蔵んちはお寺だから直径2メートルぐらいの釜があって、それ一杯にご飯を炊いてくれるはず』って言ってたから安心してたのに!」
「そんな釜ウチにはねえよ!カレーだけ食う訳じゃないし、五合もあれば充分だって!」
「いや足りないっす足りないっす五合じゃ全然足りないっす!」

 ・・・確かに、カレーだけを食べるなら約二十名に対してご飯が五合では全然足りません。が、今回は参加者全員がかなりの量の料理を持ってきているのです。
 一人一品としても二十品以上の料理を、この夕方から朝までに食べなければならないのです。カレー一人前なんて食べられる訳がありません。五合のご飯で充分足りるはずなのです。

 と、何度も説明したにも関わらず、頑として聞き入れようとしないハックルベリー田村。相変わらず呪文のように足りないっす足りないっすと呟くばかりです。

「いや無理っす無理っす全然足りないっすよポク蔵さん!今すぐご飯買ってきますから売ってる場所教えてください!こうなったらタイ米でも構いませんからっ!」

 
(続く)

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