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【第三十一回 料理対決 3】
ポク蔵が会場に戻った頃には、料理対決は前半戦が既に終了していたのですが、ピーチク、ウナギ犬ら女性陣が気を利かせて、ポク蔵の分を取っておいてくれました。
早速温め直してくれた料理を食べていると、背後から忍び寄ってくるメガネ男子。
「ポク蔵さん、俺のカリー食いました?」
「まだだけど、結局ご飯は足りたの?」
「えっ、ああ、まあ・・・」
急に口籠もるハック。嫌な予感がして会場を見回すと、ハックカリーの試食は終わったはずなのに、弁当屋で買ったご飯の入ったパックが半分以上、未使用のままテーブルの上に置いてあります。念のため炊飯器の中を見てみましたが、もちろん一粒たりとも使用された形跡はありません。
日頃は温厚(中略)なポク蔵もさすがに堪忍袋の緒が切れて、思わずハックを怒鳴りつけました。
「だから買う必要ないって何度も言っただろ!こんなに沢山ご飯余らせてどうするつもりだよ!」
「いっ、いや、明日の朝カヨちゃん(ケンケン彼女)が角煮丼を作るらしいんで、それで多分大丈夫かと・・・」
「なあポク蔵、まだあるんだよ」
横でこのやりとりを聞いていたキャームが話しかけてきました。
「弁当屋で『大盛りを半分に』って注文しただろ?ハックは大盛り一人前を真ん中でこう(左右に)半分にしてあるもんだと思ってて、空いてる半分のスペースにカレーを注ぐだけで出来上がり、のつもりだったんだよ。ところが、実際開けてみたら量が少ないだけで、普通に盛ってあるからカレーを注ぐスペースなんて無いんだよ!こいつ、さ、最初の一個目を開けたとき、じゅ、17秒くらい固まって動かねえんだよ!フハハハハハハハッ!」
もう呆れて物も言えないというか、結局あれだけ時間を費やし、弁当屋のおばちゃんに余計な手間をかけさせたのも、全くの無駄だったという訳です。
「とっ、とにかく、食ってくださいよ、俺のカリー!」
と、ご自慢のカリーを差し出すダテメガネ。皮肉のつもりかご飯は大盛り、カリーもなみなみと注いでありやがります。
「どうっすか、俺のカリーは?」
「・・・普通」
まずくはないが決して美味くもない、ダメな大学の学食で出てきそうな普通のカレー。肉の量はかなりケチっているようですが、他には何の工夫も感じられません。5段階で言えば2くらいでしょうか。
食べてる内になんとも侘びしい気分になり、半分ほど残してテーブルに置いたのですが、再び現れたハックにそれを発見されてしまいました。
「ポク蔵さん、のっ、残したんすかっ!俺のカリーをっ!」
「いっ、いや、他の料理も食ったし、お腹いっぱいだから・・・」
さすがに正面切って「美味くない」とは言えず、思わず言い訳するポク蔵。
「・・・・・・」
残ったカリーをしばらく見つめ、無言で去ってゆくハック。どうやらこのダメカリーによほど自信を持っていたようです。
(続く)
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